The WyCach Portfolio Management System(1992)

May 28, 2022

Ward Cunninghamが証券ポートフォリオ管理システムWyCASH+を開発したときの事例報告で、92年のオブジェクト指向の国際会議OOPSLAで発表された。 この発表が技術的負債の典拠であるが、文中には技術的(technical)はなく単に負債(debt)と書かれている。 アジャイルソフトウェア開発宣言が発表された2001年以前に、ウォーターフォールよりもインクリメンタルな開発のほうが最短で適当な品質のソフトウェアを構築できると主張した。 しかし、インクリメンタルな開発では、全ての知識が十分に揃っていない状態でコーディングするため、システムの部分的な修正を重ねる必要がある。 そして、オブジェクト指向言語のメッセージパッシングによって漸進的な修正が可能になるというのが発表の骨子である。 負債で会社の成長を早められるように、コードをリリースすることで後に修正する必要があるかもしれないが、よい設計を早く知ることができるため、Cunninghamは最初にリリースするコードを負債と形容した。 負債と対比されているのはプログラミングの前に設計を熟考することであり、こちらが前払い、全額払いと表現されている。

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